2013年5月25日土曜日

toitoitoiレコーディング(2)

遡って2013/5/25分を書いています。

この日はスタジオで吉田くん(以下ヨッシー)のパーカッションを録音するためにリハスタに行きました。
先週までの録音のクリックと仮ギター・仮ボーカルを入れたZOOM R16にダビング。

R16は同時に8チャンネル記録可能、8チャンネルともキャノンコネクターがついていて、うち2チャンネルがファンタムパワー供給可能です。しかも軽くて、しかも乾電池でドライブ可能なのでフィールドレコーダーとしてとにかく便利です。スペックはここで。

カホンはフロントにSM-57、背面の穴から20センチほどに斜めにSM-57、シンバルの上に全体のバランスよりもシンバルが強めにくる位置にFOSTEX MC10STをステレオバーでセッティング。カホンの穴側はまっすぐ立てると低音が直撃すぎて後処理しにくい音になります。あくまでも耳で聴いて、楽器の音としてOKなポイントを見つけてそれをすこし強調するような位置に立てるとよいです。カホンには別にマイクが立っているのでシンバル類は好きなポイントでいいのですが、優秀なプレイヤーほど全隊のバランスが出来ているのでそのバランスをリスペクトします。つまりカホンに立てたマイクは補助とも言えます(実際はミックスで定位など決めるためにはとても重要)。

マイクを立てるときは、その近くに立てるだけじゃなくて、立てたい気がする場所の音を自分の耳で聴いて選んで立てるといいです。プレイバックして音を聴くと「ああ、あの感じだとこういう感じになるんだ」という方程式のようなものが自分の中に徐々に芽生えます。これが財産です。

とか言ってるうちに事前にベーシックトラックを録音していなかったものもやることになり、スタジオでベーシックトラックを録音。
なんで一緒に演奏せず、わざわざベーシックを作るかというと、パーカッションと一緒にボーカルなんかを録音するとパーカッションのマイクにボーカルが回り込んでしまうのであとでボーカルの修正ができなくなるからです。


Gibsonのソリッドなエレアコを弾く村越くん

で、やっぱりドラムも録音しようってことになった。しまった、マイクちょっとしか持って来ていない。そう思ったらヨッシーが「いいバランスで叩けばいいんですよね?」って言うもんだから僕もやる気が出る。
でもR16はファンタムが2チャンネルだけなのでしぶしぶH.H.にSM-57、スネアにSM-57キックにSM-58、トップにFOSTEX MC10STで録音。ヨッシーのプレイは本当にバランスが素晴らしかったのでこれで余裕でイケました。
ヨッシーはスタジオのキットに持ち込みのスネアとシンバル
ビンテージなシンバルがいい感じ! 

デジタル録音でビット深度もあるのでむしろナローレンジなマイクを使うと音がぎゅっとまとまるというのもあります。そういう意味で個性の強いマイクを使うのは戦略としてアリ。でも録音した素の音ってどんななのかをそもそも知らないと困りますよね。
安いコンデンサーマイクもたくさん出ているけど、これからレコーディング用にマイクを買うなら選び方としては
・ボーカルには信頼できそうなブランドのまあまあ安いコンデンサーを1本
・SM57、このマイクには教わることが山ほどある、1−2本あると便利
・信頼できるメーカーの小型ダイヤフラム(棒状)のマイクステレオペアがあると便利
全部で8−9万円で買えるかな?

スネアドラムって実際どんな音がしているのか知っていますか、プラグインシンセの音は加工された、データで言えば100分の1くらいの音なんです。スネアに自分でSM57を立てると最初はその音のチープさに愕然とするかもしれませんが、ここが原点です。自分で録音した音はEQも効くし変幻自在です。勉強になりますよー。

リハスタで歌う岸川さん

toitoitoiは素敵なアーティストです、是非ファンになってみて!
このへんとか→toitoitoi - キスキスバンバン (渋谷O-Crest, 2012/05/17)

ではまた書きます。

2013年5月19日日曜日

toitoitoiレコーディング(1)

遡って2013年5/19分を書いています。

toitoitoiに出会ったのは3年前で、とても上手いバンドです。
http://warmnoiseinc.syncl.jp/

5月からレコーディングを始めていて、そこまでのイントロを書くと長くなりますのでとりあえず要点だけ報告していきます。

方法・スペックは以下
・基本、大きな音を出さなくて済むボーカル・アコギに関しては僕のリビングスタジオ、通称ケロケロスタジオで録音
・ドラムはギターアンプを使う作業はリハスタをノマドする
・ソフトウエアはDP7.24/ProTools9を使用
・バックアップレコーダーとしてハードウエアレコーダー、ZOOM R16の投入
・記録フォーマットは44.1K/24Bitで行う

ライブで鍛えたアーティストですが、録音物は単なる記録ではなくてアーティストの次の姿の提案でもあるので、なるべくコストを下げて、その分録音作業に向かい合える時間を長くすることでレコーディングの経験値もいっきに上げてもらえるのではないかと思います。演奏したものはすぐにプレイバック、それを受けて修正や次のアイディアが浮かべばどんどん実験して、またプレイバック、の繰り返しです。

ギターの村越くん・当初アコギはcalrecで録音していた
アコースティックギターは定番のマイク位置があるといえばあるのですが、彼のプレイはダイナミクスがとても大きい(小さい音はとても小さい)ので楽曲によって常にマイク位置を変えています。
マイクセットのポイントを見つけるときは僕自身がいろんなポジションで音を聴いて、好ましいと思った位置に立てます。ヘッドフォンで確認しながら動かして決めるすることも多いです。

ボーカルの岸川さん・マイクはノイマンのTL-102
ボーカルに使っているTL-102はダイアフラム(マイクの振動板)があまり大き過ぎず、内側にうっすらウレタンのウインドスクリーンも内蔵しているので吹かれにくく低域もちょうどよく切れていてとても使いやすいコンデンサーマイクです。値段もお手頃なのでダイナミックマイクで言えばShureのSM57みたいいなもんだ、と乱暴に思い込んでいます(笑)

ちなみに大きなダイヤフラムのマイクは超低音の空気の揺れのような部分まで逃さず収録できるかわりに我がケロスタはじめ暗騒音がやや高めのスタジオではレンジが広すぎて、後処理にちょっとコツがいります。


ケロスタ全景・ただのリビング作業場です

この日はこんな感じでクリック(ガイドテンポ)に合わせてボーカル・ギターを録音、これが次のスタジオでドラムを録音するときのガイドになります。

toitoitoiはyoutubeにたくさんライブ動画をアップしています。よかったらファンになってね!


続きは次回!