2014年3月20日木曜日

ハイレゾミックスとDigital Performer での設定のポイントについて

 音楽録音の場合、特に編集時のストレスを考えるとむやみにハイビット・ハイサンプリングレートで録音すると辛い場合があります。

 そこで疑問になるのが録音は16bitでやっちゃった場合マスターを24bitにする意味があるの?という話ですが、これは大変に意味のあることです。

 量子化ビット数はいわば音の大小の表現の階段の数ですが、音源のトラックが1個だけで、なにもエフェクトせずフェーダーもゼロ(ユニティー)にセットした場合以外ではミックスでいろんな音が混ざりある瞬間の音の大きさは16bitで表現できる階段よりも細かな、もっといろいろな値をとることになります。それを16bitで表現できる階段に「まるめた」ものが16bitのマスターなのです。

 試しに極めて小さなレベルの矩形波にかけたリバーブのリリース波形を見て下さい。
この波形はもともとフルビットでしたがフェーダーを-70dBにセットしています。付属プラグインのリバーブ(Proverb)をインサートして内部でバウンスした波形をさらに拡大したものです。


 階段の数が6段くらいしかありません。2-3ビットで表現されていて音で聴くとツーン・・ジジジと歪んでいます。

 これが正しく24bitでバウンスされるとこういう波形になります。綺麗に響いています。

音の細かな部分でこのようなまるめこみを許すのか、いや許さないのがハイビットマスターということです。

  Digital Performer で24bitバウンスをする場合は、バウンス画面で24bitを選んでもダメです。これとても重要!まずセッションの設定を一時的に24bitにしてからバウンス画面で24bitを選択し実行します。セッションが16bitになっているとバウンスへも16bitで計算出力される仕様です(実験済み)。

録音は16bitで行うことも多々あると思います。
操作やファイルの軽さも魅力。

ハイレゾバウンス時、ミックス時にはここを24bitに
しないとバウンスが正しく24bitになりません。
バウンスで24bitを選択

 ところでビット数はまあ理解したとしてサンプリング周波数のほうはどうなのか。これは都市伝説的な間違った理解をされている方もありますが、音はどんなに混ぜても元の周波数よりも高い音は生成されません。理科を学んだ方なら簡単にわかることです。音が複雑になると人間の耳にはどうも「新しい倍音が生まれた」ように錯覚してしまう部分もありますが実際は「歪ませるエフェクト」をしないかぎり倍音は増えません。録音されたサンプリング周波数よりも広げたマスターを作っても無意味。
 ですから安心して44.1KHzか48KHzを選んでよく、96KHzのマスターを作りたいなら96KHzでサンプリングするべきです。しかし、ほぼ耳に聴こえない領域を心配するよりも先に耳に聞こえる領域の情報量を増やすべきだと僕は思います。

 電気的・肉体的には96/24でなくても、ほぼ44(.1)/24だっていいのです。むしろ問題は正しくそれを行っているかであり、いい音楽がいい音で詰まっているかなのかもしれません。しかしマスターの良さはもちろんですが、音楽制作の時間をなるべくハイレゾな環境で過ごすことはミュージシャンにとってもかならず良いことだと思います。そうしていい音楽が生まれてほしいですね。僕も精進します。



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